「商談の振り返り、ちゃんとやってる?」と聞かれて、胸を張れる営業は少ないと思うんですよね。
CRMのメモには「先方、前向きな印象。引き続き関係構築」。読み返した瞬間に情報ゼロ。「前向き」の根拠は何か、次に何をすれば前に進むのか、全部抜けている——私も昔はこれでした。
いまは商談・面談の録音をAIに分析させて、振り返りを『感想』から『データ』に変えています。この記事では、私が実際に回している手順を、コピペで使えるプロンプト込みで全部書きます。
なぜ「録音×AI」なのか
人間の記憶は、商談が終わった瞬間から都合よく編集されていきます。「手応えがあった」という記憶と、録音に残った実際の会話は、驚くほど違うんですよね。
録音をAIに読ませる最大の価値は、『自分では気づけない瞬間』を拾えることです。相手の温度が下がった一言、こちらが話しすぎた時間帯、最後まで言い切ってもらえなかった言葉。ここが見えると、次の商談の打ち手が具体的になります。
手順1:録音の質を確保する(ここで9割決まる)
先に一番大事なことを言うと、この仕組みは入口の音質で全部決まります。音がにごると文字起こしが崩れ、その先の分析も全部崩れる。
スマホで始める場合の工夫は3つです。
- 端末は自分と相手の『中間』に置く(自分の手元はNG)
- 机の反響を避けるため、ハンカチやノートの上に置く
- 録音アプリは会議モード(無指向性)があるものを使う
それでも会議室の反響や距離の問題は残ります。本気で仕組みにするなら録音専用機という選択肢もあって、評価軸は別記事(PLAUDを3つの評価軸で検討した記事)にまとめています。
※大前提として、録音は自社の規程と相手への配慮の範囲で。私は社外秘情報や個人名は、AIに渡す前に必ず伏せています。
手順2:文字起こしする
録音データを文字起こしします。手段は何でもよくて、文字起こしアプリでも、専用機の自動文字起こしでも、生成AIへの音声アップロードでも。ポイントは「話者が分かれていること」です。誰の発言か混ざった文字起こしは、分析の精度が一気に落ちます。
手順3:AIに渡す前に「3行の前置き」を書く
文字起こしをそのままAIに貼ると、返ってくるのは「全体的に良い商談でした」という当たり障りのない感想です。これを消すのが3行の前置きメモです。
【商談の前置き】 ①今日の商談の目的:(課題ヒアリング/予算感の確認/クロージング のどれか) ②相手:(役職・自社への温度感・過去のやり取り1行) ③確認したかったこと:(この商談で持ち帰りたかった情報)
AIの出力の質は、渡す前の情報整理で決まります。この3行だけで、分析の解像度がまるで変わるんですよね。
手順4:採点観点を渡して分析させる(コピペ用プロンプト)
前置きメモと文字起こしを貼ったうえで、こう指示します。
あなたは営業マネージャーです。以下の商談の文字起こしを、次の4つの観点で分析してください。 ①目的達成度:前置きに書いた「今日の目的」は達成できたか。根拠となる発言を引用して評価 ②相手の温度が動いた瞬間:前向きになった発言・トーンが下がった発言を、それぞれ引用して指摘 ③会話の配分:営業側が話しすぎていないか。説明・質問・傾聴のバランスをどう見るか ④次の一手:この商談の流れを踏まえて、次にやるべき具体的なアクションを3つ。「誰が・いつまでに・何を」の形で 感想や一般論は不要です。文字起こしにある事実だけを根拠にしてください。
ポイントは最後の一文です。これを入れないと、AIはどこにでも当てはまるアドバイスを混ぜてきます。『事実だけを根拠に』と縛ることで、この商談固有の分析だけが返ってきます。
手順5:週1回、まとめて見返す
1件ずつの分析で終わらせず、週に1回、その週の分析結果を並べて見返します。「②相手の温度が下がった瞬間」だけを1週間分並べると、自分の癖が見えてきます。私の場合は『価格の話を自分から切り出したとき』に温度が下がるパターンが多くて、切り出し方を変えるきっかけになりました。
よくある失敗3つ
- 録音だけして聞き返さない——ストレージの肥やしになります。分析まで含めて「仕組み」です
- AIの分析を鵜呑みにする——AIは温度の変化を見つけるのは得意ですが、商談の文脈や関係性はあなたにしか分かりません。判断は人間の仕事です
- 完璧な仕組みを作ろうとして始まらない——スマホ録音+コピペプロンプトで今週1件、から始めるのが正解です
まとめ
①録音の質を確保 → ②話者が分かる文字起こし → ③3行の前置き → ④観点を渡して分析 → ⑤週1で振り返り。
道具よりも順番が大事で、特に③と④の『AIに渡す前の設計』がこの仕組みの心臓部です。録音の入口を強化したくなったら専用機の検討記事もどうぞ。
この仕組みを含めた営業AIツールの設計図(プロンプト全文・スプレッドシート構成込み)はnoteにまとめています。
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